「悪夢探偵」は、「鉄男」「野火」などで知られる映画監督の塚本晋也が原作小説を手掛け、映像化したサスペンスホラー作品です。
主人公影沼京一を松田龍平が演じ、ヒロインの霧島慶子役は長編映画初主演である歌手のhitomiが抜擢されています。脇を固めているのは安藤政信、大杉漣、原田芳雄です。
続編に「悪夢探偵2 怖がる女」があります。その続編も塚本晋也監督が手掛けていますが、塚本監督が明確な続編映画を撮ったのはこの「悪魔探偵」シリーズだけです。
…悪夢探偵、それは人の夢の中に入り込み、悪夢を取り除くことができる特異な存在。
ある日、連続で起こった【眠ると自殺してしまう】という謎の多い怪事件を担当した女刑事・霧島が、事件解決のために悪夢探偵・影沼京一へ協力を求めることになります。
いやいやながらも、刑事と協力し事件を解決へと導く悪夢探偵に目が離せません。
事件の真相がわかるラストには、え?あれ??と、話の筋とは関係のないところで少しサプライズな設定がされているところにも魅力を感じる作品といえるのかもしれません。
監督の著書を映画化されているだけに、作者のイメージに合致した表現のできた作品なのではないでしょうか。
主演の悪夢探偵を演じている、松田龍平さんは、松田優作さんと松田(熊谷)美由紀さんの長男。弟に松田翔平さんがおり、2人も違うタイプの演技派俳優として定評があります。
松田龍平さんの出演している作品で思い浮かぶのは、「探偵はBARにいる」の大泉洋演じる探偵のサポート役の天然な空手の達人という人も少なくないはず。
面倒くさそうな、さりとて頼まれた事をおざなりにせず嫌々ながらもこなしてしまう点が、この悪夢探偵と共通している役柄のように感じます。
多くの映画に出演、歌にCMにと実力を認められているからこそ、悪夢探偵主演なのでは?と感じます。
hitomiさん演じる、悪夢探偵に助けを求めるエリート刑事役の初々しい演技も注目するポイントでしょう。
彼女は出世コースにいるだけではなく、一度は現場を知っておこうと捜査一課に配属を願い、この物語の事件に遭遇してしまいます。
人の心の醜さを垣間見て、生きることの意味を見いだせないでいる悪夢探偵と、凛と生きるエリート女性刑事の交流は見所です。